木陰

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「え〜、恥ずかしいよ……」
「いいじゃんかよぉ」

不貞腐れた顔で、ぶっきらぼうに「好き」と君に言われた日から数ヶ月。気温はグッと下がったが、誰かさんのおかげか、心はやけにポカポカ暖かい日が続く。

「ちょっとくらいいいじゃん、誰も見てないんだし。な?」
「でも、周りに人いるよ?やだぁ…」
「つべこべうっせーな、」

拒否していたのに半ば強引に手を繋がれた。

「あーもう、恥ずかしい!!」

手を振りほどこうとした時、突然強い風が視界を遮る。

「うわっ、風つよ……」
「ちょwwおまえスーパーサイヤ人かよ‪w‪w‪」

そう言われ、近くの湖の水面を見る。水面に映った自分の髪は、ガチガチにワックスを塗ったように逆立っていた。
恥ずかしくて、おかしくて、2人して笑い合う。

木枯らしが絶え間なく吹き荒ぶ。
それでも、2人の手と心は暖かかった。

1/17/2024, 2:47:54 PM