「頑張る存在」
私は、ある1人の女性の為に頑張らねばなのだ。
彼女は、弱った私を献身的に世話してくれる。
朝、「おはよう。今日の調子はどうかな?」
笑顔を向け、私に話し掛ける。
「今朝は、肌艶よくて調子良さそうね。」
「朝ごはんにしましょうか。」
そうやって、ほぼ毎日かいがいしく私を世話する。
ある時…私は少し弱り
もしかしたら、冬を越えられないかもしれないと言われた。
そんな私にも、彼女は諦めず懸命に世話してくれた。
「絶対に次の春迎えるんだから!」
…と色々調べ、手を尽くしてくれた。
その姿と笑顔を見たら、頑張らないとならない
まだまだ私はやれる!と自分を鼓舞したのだ。
そうして、危ないと言われた冬を越え、春。
私は、生き延びたのだ。
ある朝…彼女が私の姿を見るなり
「うわぁーっ!元気になったのね!綺麗!」
いつにも増して、満面の笑みを浮かべた。
他の仲間達も、私を見上げて、次々に
「おーっ!見事だなこれは。」
「頑張って世話した甲斐あったな。」
と彼女と私の姿を見て、褒め讃えた。
うっすら涙浮かべながら、笑顔で彼女は
「はいっ!今年も見事な桜が咲きました!」
「また、街のみんなに見てもらえます!良かった」
樹齢100はとうに超えた私は
こうして今年の春も、桜の花を咲かせる事が出来たのだった。
『ありがとうな。娘さん。』
「こちらこそ!また、来年も頑張りましょ。」
また、頑張らねばならんようだな 苦笑。
2/8/2023, 12:06:02 PM