ぐんぐん風を切って空と地面との境界線が曖昧になっていく道で少年はペダルを漕ぐ。これさえあればどこまでもどこまでも行けるような気がした。少し成長した彼は原付バイクに乗った。世界が広がる音がした。もっと大人になった男はやがて車を運転する。知らない街との出逢いに心臓がどくんと跳ねた。そのうち自転車は埃を被り、とうとう廃棄されることになった。それでも決して忘れないで。あなたの大きな一歩を、優しく力強く背中を押してくれた存在であるという事実を。
8/14/2024, 9:24:13 PM