「あなた、だあれ?」
突然小学校低学年生らしき声をかけられた。君こそ誰だ。声しか聞こえない。姿が見えない。
「僕は人間の男だよ」
応え方はこれで合っているだろうか。多分明らかにあっていない。名乗った方がいいか?自己紹介?どう応えたらいい?ぐるぐる巡る。
「君こそ誰なんだい?」
できるだけ優しく聞いてみる。
「あなた、人間なの!すごい!あたし初めて人間とお話した!!すごいすごーい!!」
声だけがきゃっきゃとはしゃいでいる。僕の問いには答えくれないようだ。
「人間!人間!人間はどうしてこんなところにいるの?」
「どうしてってそりゃ...」
『...?どうして?なんで?ここどこ?ここはくらい?あかるい?しろい?くろい?まぶしい?みえない?』
ぐるぐるぐる。
まわるまわるまわる。
はなすはなすはなす。
せめるせめるせめる。
頭がパンクしそう。
僕は、あそこに、いたはず。
『あそこ?どこ?あそこってなに?あそこ?あっち?そっち?どっち?みぎ?ひだり?うえ?した?』
『ねぇ人間』
『ねぇ人間あかいのでてるよ?』
『ねぇ人間おかおからだーってでてるよ?』
『ねぇ人間それなあに?』
『ねぇ人間そのあかいのなあに?』
『ねぇ人間』『ねぇ人間』『ねぇ人間』『ねぇ』『ねぇ』『ねぇ』『ねぇ『ね『ねぇ』ねぇ』ねぇ』
気が狂いそう。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
でも、ぐるぐるしてるとたのしいかも。
なにかをめえいっぱい考えるよりずっと、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、してたほうがたのしいのかも。
『人間?』『人間?』
ぼくを、よんでる。
人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間。
にんげんって、ぼくをよんでる。
ぼくはにんげん?人間?人幻?
またぐるぐるしてきた。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。
でも、たのしいな、なら、いっか。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
『ココロオドル』
10/9/2024, 11:04:34 AM