Ree🍁🌙*゚

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【忘れられない、いつまでも】

俺はずっと、幼少の時から雇われて人を殺して来た

雇われてからもう15年も経つ
今年でたしか22歳だったと思う

俺の誕生日なんて1度も祝われたことが無い
そもそも自分の誕生日がいつなのかすら知らない

ただ、俺にとって1番大切な人はあの人だけだって事





俺とあの人…師匠が出会ったのは寒い寒い冬の時期だった。

俺の母親は7歳の時まで幸せの時間を過ごしていた

俺は父親の顔を見た事が無い

母に聞いても何も答えてくれない言ったとしても〚あの人はもう死んだ〛としか答えない

思えば、はじめから母は俺の事なんてどうでもよかったのかもしれない。名前なんて呼ばれた事が無いし、世話も最低限しかしていなかった

ある日、母いや、あの女の話を聞いてしまった


〚「はぁ、あの子いつまでここにいるのかしら、もう、本当うるさくて仕方ない、いっそ外に投げ出して仕舞おうかしら」〛

は?

意味が分からなかった

なぜ追い出そうとしてるのか

今そこにいるのは母ではなく誰なのか

もう何が何だか訳が分からなかった


気がつくとあたり一面が赤黒く、鉄臭い匂いがした
目の前にいる女はもう息をしていない

俺は外に飛び出した
裸足で触れるその雪はとても冷たく自身の体温を奪って行く

家が見えなくなったところで等々俺の足が動かなくなってうつ伏せで倒れてしまった
嗚呼、死ぬのかと思った


しばらくすると、パチパチと何かが燃える音がした

暖かい

目が覚めた
知らない家にいた

どうやら眠ってしまったらしい
そこに誰かが来て俺をたまたま助けてくれたのだろう

〖「目が覚めたか」〗

知らない人の声だった

「なんだ、おまっゴホッ...ヴ...ゲホッ」

久しぶりに声を出した所為か咳き込んだ

〖「おらよ」〗

と言って水が注がれたコップを手渡してくれた

「……ありがとう、ごさい、ます」




それが師匠と出会った日だった
その日から師匠は俺に物の使い方、学術、それから…師匠の職業について、沢山のことを教えてくれた

それから3年の月日が経った
ふと、師匠がこんな事を言ってきた
「おい、お前、誕生日は?」
俺が答えられなくて困っていると
「そうか、なら今日がお前の誕生日だ、のぞむ」
と笑顔で言った

ん?のぞむ?と思い
「なあ、師匠、のぞむって、誰?」
と聞いた

「っはは、お前の名前だよ」

「僕の名前、のぞむ…」

「ああ、今決めた、俺からお前の誕生日プレゼントだ、希望の[希]に生きるの[生]で希生だ」

希生…俺の名前、師匠がくれた大切なもの





だから、師匠、今までありがとう

俺にとってあの日がいつまでも、忘れられない最高の思い出だよ


今日も俺は依頼を受けて人を殺している
だって、アイツらは裁かれるべき人

5/9/2023, 1:15:48 PM