のぞみ

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あじさい

「この私のあじさいが枯れるまであなたの願いを3つ叶えて差し上げましょう!」
謎の男は急に現れてそんなことを言った。
一本のあじさいをもっている。
「はい?何言ってるんですか?
っていうか、あなたどこから来たんですか?」
急に現れて不思議なことを言って意味がわからない。
何よ、枯れるまで3つの願いを叶えるって。
「そんなことはおいといて、あなたがこの出来事を信じないで、私を追い出すというなら他の人のところにいくんですよ?いいんですか?私の言っていることは本当です。」
それでも、突然の出来事で理解できない。
私は黙っていると、
「はぁー、わかりました。
あなたにもせっかくチャンスが回ってきたというのに無駄にするなんて、後悔しても知りませんからね?」
そう言って、謎の男は窓から出ようとしていた。
この男は普通ではないし、もしかすると人間ではないのかもしれない。今だって、当たり前のように窓から出ようとしているんだから。
だったら、まだ、信じられてはいないけど、これを利用して願いを叶えてもらったほうが得だろう。
「分かった。あなたが本当に願いを叶えてくれるのならお願いしたいわ。いい?」
私は窓から出ようとしている男を慌てて止めて、その背中に投げかけた。
「わかりました。あなたの願いを叶えましょう。
ただし、3つです。早速、一つ目の願いことをしますか?」
「ええ、お願いするわ。」
私が頷くと謎の男は私の近くまで来て、説明を始めた。
「では、願いを私の目をみて、心の中で唱えてください。私がいいというまでその願いをひたすら唱えるんです。多少なら構いませんが他のことを考えるのはやめてください。願いに集中するのです。わかりましたか?」
上手くできるかな?
少しドキドキしながら男の人の合図で目を閉じて心の中で願いを唱える。
私が願うことはおばあちゃんのことだ。
おばあちゃんは最近、持病がひどくなって入院している。
おばあちゃんの病気が少しでも良くなりますように。
男に言われた通りひたすら願っていると、しばらくしてから男は目を開けて良いと言った。
私は目を開けると私はベッドに横たわっていた。
な〜んだ。夢か。不思議な夢見たもんだな。
少しがっかりして、水を飲みに台所に行くと、お母さんがびっくりしたように言ってきた。
「あんた、何してるの?
今日はおばあちゃんに会いに病院に行く予定でしょ?
部屋で準備してるのかと思ったら!早く支度しなさい。」
あっ、そうだった。今日面会に行く予定のこと忘れてた!もう〜、急がなきゃ!
私は急いで支度をしておばあちゃんに会いに病院に向かった。
病院に着いておばあちゃんの病室に入るといつもよりおばあちゃんは元気そうに見える。
「おばあちゃん、具合はどう?」
「それがねぇ〜、あみちゃん!さっきご飯を食べてからなんだか今までとは違って調子がすごくいいのよ!」
確かにいつもよりも具合が良さそうだ。
おばあちゃんと話しているとお医者がきて、微笑みながらこう言った。
「さなえさん、お昼ご飯を食べた後の検査ですごく、容体が安定していたので一週間後には退院出来そうです。
良かったですねー。なぜ急にこんなに調子が良くなったのは私も分かりませんが、良かったです。」
そうなふうに嬉しいお知らせをされて、おばあちゃんはとっても喜んでいた。
良かった。おばあちゃんが元気になって!
私は安心して家に帰った。
家に着いたら自分の部屋に向かう。
いつものようにドアを開けて入ると、夢の中にでてきた男がいた。
「どうでした?おばあちゃん元気になってたてしょう?」
えっ?夢じゃなかったの?
じゃあ、あの時私がおばあちゃんが元気になる様にって願ったのが叶ったってこと?
そう思い男の方を見ると男の人は頷いてこう言った。
「そうです。あなたが願ったことが叶ったんです。」
「でも、私あなたに目を開けてって言われてから目を開けたらベッドなかでした。てっきり夢だと思ってたんですけど・・・・・。」
なぜ?
問いかるように男の方を見ると、申し訳なさそうな顔で言った。
「それが、願いを叶えた方は目を開ける時に私はいなくなっておかないといけない決まりなんです。
だからベッドに横たわっていてもらいました。」
申し訳なさそうに言っていたけれど、私には感謝の気持ちでいっぱいだった。
「いえ、祖母を救ってくれて本当にありがとうございました。」
感謝の言葉を述べる。
すると、その男は微笑んで話した。
「はい。あなたの願いはまだあと2つ叶えることができます。今の時点で何かありますか?」
うーん、今のところは大丈夫かな・・・。
「いえ、今はまだ大丈夫です。」
「分かりました。では、願いを叶えたい時に強く願いたいと思ってください。そしたら私が現れますから。」
男はそう言って消えた。
最初は信じられなかったけど、願いは本当に叶ったんだ。良かった。 
それから私は後2つの願いを3ヶ月ぐらいでどちらもちゃんと願いどうり叶えてもらった。
そして、3つ目の願いをする時に男は言った。
「これであなたの3つの願いは終わりました。
最後にあなたにお願いがあります。
このあじさいをきちんと日光にあててお水をやって、また、育ててくれませんか?今は枯れてますが、きちんとお世話をすればまた咲くので。どうかよろしくお願いします。
綺麗に咲いたら私が取りに来ますので。」
今まで叶えてもらったんだ。こんなことお安い御用だ。
「はい、分かりました。大切に育てます。今までありがとうございました。一つ気になるんですけど、あじさい育てて咲いたらこのあじさいはどうするんですか?」
私がそう聞くと、男は微笑んで言った。
「このあじさいで願いを繋ぐんです。
このあじさいのおかげで願いを叶えてもらった人にあじさいを大切に育ててもらい、次の人へ幸せを繋ぐ。
そうしてるんです。」
そうだったんだ。
私が頷いたのを確認すると男は消えていった。
私はその後大切に毎日毎日お世話をして育てていった。
次の人が幸せになりますように。
そう願って。
                  

                   完

うーん?面白かったですか?
読んでくれた方、ありがとうございます!
幸せを繋ぐ、我ながらいいこと書きました〜笑笑

6/13/2023, 11:17:34 AM