一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→短編・即興星座

 高台のマンションのワンルームが、私の住処である。
 ベランダで夜景を望みながら、缶ビールで晩酌。生温い夜風がたまに鼻をくすぐる。夏の湿度が遠くの景色に霞をかけている。さらに近視の視界が捉える街の灯りは、星のようにおぼろげだ。
 その星の幾つかを指で追って繋いでみる。雰囲気だけで作る自分だけの星座。
 でも、繋いだ瞬間にどの星を渡って星座を作ったのか分からなくなった。
 視線を頭上に持ち上げる。街の明かりで淋しくなった夜空に、ほんのりと星を見つける。
 星座を作り上げた昔の人はすごいなぁ、とほろ酔いの頭でそんなことを思った。

テーマ; 星を追いかけて

7/21/2025, 3:57:37 PM