どうしようもなくなったから心を投げた。遠くに投げた。それでも腹が立つから、自分の胸を引き裂いて心臓を取り出した。投げた。ぶん投げた。叩きつけるように投げたんだ。軽やかな曲線を描くはずの心臓の軌跡が、真っ直ぐに落ちていく。無様だ。べたんと嫌な音が響く。叩きつけられても鼓動は止まない。私と心臓の間には、空白の距離がある。ああようやく孤独になれたと、私はぽっかりと空いた胸に手を当ててほっとした。
(250430 軌跡)
4/30/2025, 12:40:33 PM