なすのナースコール

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「子供のように」

社会に飛び込んでから3年。薄っぺらい人間関係、縮まらない同僚との距離に嫌気がさしてしまった私は心の病を患って治療中だ。

そっと目を閉じて学生の頃を思い出すと、体育祭に文化祭、合唱祭などの楽しかった事が脳裏に浮かぶ。何事にも全力になっていた日々が懐かしく、もう一度子供に戻りたいと思ってしまう。

そんな物思いに耽りながら目を開くと、しんと静まった部屋にゴミが溜まっていた。もう全部片付けて、捨ててしまおう。そう決心して片付けているうちに、部屋の隅にダンボールが置かれているのに気づく。差出人を見ると、母の名前が記されていた。

毒親、親ガチャだとか言われる時代でも母はどっしりと強く、友達のように気楽に話せる存在だった。そんな母からの仕送りもろくに見られていなかった罪悪感に苛まれつつ、ダンボールにカッターを入れて開く。一枚の手紙ともに、お米や栄養のあるパウチなどがたっぷりと敷き詰められていた。

手紙を読み始めるとともに、涙が溢れてきた。私を気遣い、心配してくれる母の文字。最近は、電話もできていなかったな。この優しさを放っておいた自分が情けなくて、どうしようもなく母に会いたくなった。子供のように泣きながら、母の電話番号を入力した。

母は昔と変わらず、軽い口調でもしもし、と答えた。仕事のことや今まで辛かった事を話していると、さっき鎮めたはずの涙がまた溢れてくる。そんな私を急かすことなく話を聞いてくれた母は戻っておいで、と言ってくれた。泣きじゃくりながら答えて、私は荷物をまとめた。

10/13/2023, 12:37:22 PM