子供の頃に…
誰かに言えたなら…
喪うことはなかった…
あの日とある集合住宅…
高層階の外側の非常階段で…
5人で街の灯りを見て話してた
塾をサボり…
不穏な車の発信音が…
近くのモータープールから…
キキキキ……とした…
そんな車の発信音は何処にでもあること
しかし…
朝…
何かが騒がしく目を覚ます
学校ではその話題に触れて良いか
クラスの中も学校の中も
空気は重たい
次の日は全校集会が初めて校内放送で…
普段なら皆んな笑うネタが飛び出したのに
誰も笑わない…
僕も笑わなかった…
その日の夕方に塾に数人の男の人が来てた
塾長に何か沢山聞いていた
塾長が子供達には影響が強く…
直接は聞かないで下さいと言ってた…
帰り際で隣の歯科の先生とスタッフの人が
大きな通りまで見送ってくれてた
初めて歯科の人と口を聞いたんだ…
先生の患者さんだったんだと…
僕らは大人になり口にしてない…
あの日の発信音を…
僕らは幼さに隠してしまった
サボりがバレる事が怖いのでなくて…
世の中は…
酷いとこだと知ったからだ…
5人は大人になり…
それぞれの道を歩んでる
もと君は科学製品加工会社の取締役
ヤッチンは某大手小売店のバイヤー
なっちゃんは商業系大学講師
ヨシヤは運送業で心労で42歳で病死
僕は検察事務次官
あの日の事を口にしていたら…
今のありふれた日々は無かったでしょう
Fiction
10/3/2025, 11:18:11 AM