【ささやかな約束】
小さな公園の真ん中で1人が手を振った。
もう1人は思わず笑って駆け寄る。
昔からずっと変わらない、少し不器用でまっすぐな笑顔がそこにあった。
2人にはささやかな約束がある。
"年に一度はここで会って、話すこと"
深刻な相談を持ち寄るためでも、大きな計画を語り合うためでもない。
ただ互いが元気でいることを確認するための、ひっそりとした確認のようなものだった。
ベンチに並んで座り、買ってきたばかりの温かい飲み物を渡し合う。
缶を開けた瞬間に漂う甘い香りに、ふたりは同時にと笑った。
互いの近況は聞き出すほどのことではない。
最近ハマっていることや、ちょっとうまくいった話、誰にも言うほどでもない小さい失敗。
気負いのいらない話ばかりだった。
それでも話すたびに肩の力が抜けていく。
ふと、ひとりが空を指さした。
「来年はさ、ここで何かやってみようや。バドミントンとかええんちゃう?」
もう1人は驚いた顔をしたあとすぐに嬉しそうにうなずいた。
ささやかな約束は、いつのまにか次の小さな楽しみを運んでくる。
ベンチに並ぶ2人の影は去年よりも少しだけ明るく伸びていた。
11/14/2025, 12:43:25 PM