僕と一緒に、ちょっとオタクで厨二ちっくで、不思議な物語など、楽しみませんか。
ということでこんなおはなしをご用意しました。
「ここ」ではないどこか、別の世界のおはなし。
「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、別世界間の航路を開設したり整備したり、
滅んだ世界からこぼれ落ちたチートアイテムが他の世界で悪さをせぬよう、回収して、保管したり。
滅亡世界を生き延びた生存者のために、ドチャクソ規格外に大きい難民シェルターの運営なども、いろいろ、やっておる組織なのでした。
今回のお題回収役は、チートアイテムを管理する、収蔵部収蔵課の局員。
ビジネスネームを、ドワーフホトといいます。
「うぅー!うわぁ〜ん!
忙しくて、目が回っちゃうよぉぉー!」
ドワーフホトには全部で5体、ドワーフホトにそっくりで、ドワーフホトの仕事をサポートしてくれる、魂人形が居るのですが、
その日は5体の魂人形全員をフル稼働させてもなお、すごく忙しくて、すごく大変なのでした。
というのもドワーフホト、収蔵課局員1名の定年退職につき、担当する収蔵庫がひとつ増えまして。
収蔵品リストの照合とデータベースの統合が、
特にデータの統合と整理が!
すごく!非常に!あり得ないほどに!
それはそれはもう、大変なのでした。
「ドワーフホトさん!負けちゃダメにゃあ!」
経理部から借りてきた、書類・伝票・引き継ぎ物配膳……もとい、配達ロボットネコの「クロネコ」が、複数台、ドワーフホトを励まします。
「僕たちも、頑張るにゃあ!
僕と一緒に、このお仕事、終わらせるにゃー!」
この収蔵品はあっちの倉庫、
そのデータ結晶はこっちの倉庫、
データの同期は済んだっけ?
ああ、ああ。大忙しです。
実物の収蔵品の移動と一緒に、データベースもきちんと整理する必要があるのに、
ドワーフホトと5体の魂人形と、それから配送ロボットネコ数台では、限度があるのです!
「ドワーフホトさん、負けちゃダメにゃ!」
「僕と一緒に、この仕事をやり遂げるにゃあ!」
「ネバギブアップにゃぁぁ!」
「おまえら音声飛ばしてるヒマあったら収蔵品運べにゃあ!どけにゃああ!」
「じゅー でん、 して にゃ」
「このままじゃ、引き継ぎのデータだけ、完全に後回しになっちゃうよぉ!」
ドワーフホトは、叫びました。
「助けてぇ、スフィちゃーん!」
たすけて大親友、たすけて救世主!
ドワーフホトは、チカラいっぱい叫びました。
すると、バタン!!
「完成したぜホト!俺様と広報部企画課の合作!」
白く美しく輝くデータの結晶板を持って、
経理部の天才エンジニアにしてドワーフホトの大親友、スフィンクスが助けに来たのです!
「お前の魂人形の6号機!デジタル作業特化の、デジタル生命体エディションだぜぇー!」
『こんにちわぁ!』
スフィンクスがデータ結晶を、ドワーフホトの収蔵庫のメインコンピューターに装着すると、
ピピッ!たちまち電源が入り、モニターにドワーフホトそっくりで、かわいらしいドレスを着たアバターが、ものの数秒で出現しました。
『収蔵庫内のデータ同期とぉ、整理だね、
ボクがパパァっと片付けちゃうよ、まかせてぇ!』
作業中だよ!作業中だよぉ!
僕と一緒に、バックグラウンドで33個のタスクが実行中、1111個のデータが移動中だよー!
収蔵庫のモニターに、シークバーが表示されて、
デジタル生命体たる魂人形6号が、デジタル生命体ならではの高効率と高スピードでもって、データ作業を次々に、終わらせてゆきます。
『作業一旦停止まで、あと5分〜。
5分たったら、ボク、お茶するよ〜』
「わぁ……!」
停滞していたデジタル作業がすごいスピードで終わってゆくので、ドワーフホト、感激です。
「ありがとー、ありがとースフィちゃぁん!」
ところでドワーフホト、女性局員なのです。
いつも、「あたし」と自分を呼びます。
ドワーフホトの魂人形たち5体も、自分を、「あたし」と言います。……おやおや?
「あのねスフィちゃん、」
ドワーフホト、自分の魂人形の6号機の一人称が「ボク」なもので、不思議に思って聞きました。
「なんで『ボク』ぅ?」
まぁぶっちゃけ、お題が「僕」だからなのですが、まぁまぁ、そこは気にしない。
「あぁ、それな、」
スフィンクスが理由を言いました。
「共同開発で手ぇ組んだ企画課のやつの趣味」
9/24/2025, 5:21:05 AM