その薄紫色を目にするたび、記憶の底に滲む声がある。 ──金魚鉢にあじさいを入れると、触れられる世界のすべてが、ここにあるんだって気持ちになるの。 昔、そんなことを繰り返しては、懲りずに母に注意されていた姉の年齢を追い越して、もうどれくらい経つのだったか。(あじさい)
6/14/2023, 2:54:12 AM