語り部シルヴァ

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『あたたかいね』

バスが来るまでまだ時間がある...
くそ...席に座りたいからって早く来すぎた。
日が昇る中屋根の下は随分と冷える。
寒そうにしていると、同じクラスの友人に声をかけられた。

「お疲れ、随分と寒そうだね。」
「お疲れ。あーバス停の屋根のせいで寒くてね。」
そういうと友人はカバンからココアを取り出して渡してくる。

「ほい、これで少しは紛れそう?」
「え、嬉しいけど貰っていいのか...?」
「まーた買ってくるから大丈夫!
明日購買でなにか奢ってくれたらいいよ!」
「ありがとう。ってそれ購買目的だろ。」
バレた。と笑う友人。

こんなやり取りをしているだけでも温まるのだが...
話すと笑われそうだから言わないでおこう。
じゃーねーと友人は帰っていった。
ココアを開けて1口飲む。...思った以上にぬるいな。

ココアがぬるくても、友人の優しさが暖かいものだったから気にしないことにした。
明日好きなものを奢ろう。

語り部シルヴァ

1/11/2025, 10:37:07 AM