Rutu

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楽園なんてただの夢物語じゃないのか。クソだるい世の中に楽園なんて存在するものか。まわりの大人たちは腐るほどの煙草を吸って溺れるほどの酒に酔いしれてる。男も女もカラダ目当て。今夜の遊び相手のお探しごっこ。

「ねぇ僕、こんなところにいて大丈夫?こっちにおいで」

「あら、珍しい。青い子だわ。こういうところは初めて?」

「ここでイケナイことしていかない、僕?」

残念、僕は女だ。夜のお姉さんたちは次々と僕に声をかける。クソッタレな世の中で楽園なんて。笑える。加速する酔いに身を任せる野郎どもの戯れなんて興味無い。そこのバーが並ぶ通りを歩けば路地裏でキスをしてる奴らなんて五万と見てきた。同性愛者だって存在する。毒に身を腐らせたやからどもが今日もまたうじゃうじゃ湧き出す。

光る街を眺めながら漂う酒と煙草の匂いを肺いっぱいに吸い込む。

「あ、お前さぁ…もっとわかりやすいところにいろよ。今日も来る?」

「…うん」

君がいる世界は楽園だなんて…ここは罪深き牢獄の中なのにな。

4/30/2023, 10:22:58 AM