カップの縁に映る彼女の指先が、湯気を揺らす。
それが僕の鼓動に触れて、少し息を止めた。
いま、紅茶が冷めていく。
僕らの沈黙が、温度を奪っていくのかもしれない。
注がれた紅茶は、それを受けとめるカップの上で、静かな震えを広げる。
溢れそうな琥珀の縁を、僕はただ見つめる。
香りの奥で、言葉にしなかった想いが湯気になる。
彼女の心は薄く透ける磁器のようで、少しの熱でも揺らいでしまうから、
僕はその底で、ただ受けとめる皿のように在るんだ。
こぼれる雫も、沈黙も、どれも彼女のかけらだから。
題 ティーカップ
11/11/2025, 11:28:51 AM