「いい空だね。こういう空って、見てるとなんだか飛んでみたいなぁ、とか思わない?」
友人と、カフェの窓側席で会話していると、何を思ったか、そんなことを言ってきた。
「えぇ?うーん…私は別に…」
「そうなの?こんなにいい天気、鳥みたいに飛べたら、気持ち良さそうじゃない?」
「ごめん、私、高所恐怖症だから」
「え!うそ⁉」
面白いくらいに、驚いているその姿にプッ…と吹き出してしまった。
「ごめんごめん。嘘だよ。相変わらずいいリアクションありがとう」
「ひど‼え、じゃぁ飛んでみたいと思わないってのもウソ…?」
「それはホント。飛んでみたいとは思わないね」
「えぇ~?なんで?」
「きっと、他の生物に襲われて、すぐ飛べなくなるだろうし…あと、飛んでるとき、休憩場所ないと飛び続けないとならないってのもね」
「夢ないなぁ。らしいと言えばらしいけどさぁ…」
そりゃ、純粋無垢な幼い子供の頃は、"空を飛んでみたい"なんて素直に夢見たことはあるけれど。
「地に足をつけて生きるのが、向いてるんだって。私は。つまらない、って思うこともあるけどね」
冗談交じりに、本音を溢す。
8/21/2024, 11:50:26 AM