──なあ、明日は何を着て出かけようか。
「寒ぃ……」
ローブの袖に手を入れて、震えながら渡り廊下を歩く。天気予報を見逃しただけでこんな事になるなんて。おかしいな、日頃の行いは良いはずなのに。
「この寒さで夏用のローブを着るとは……馬鹿なのか」
「うるせえ、昨日暑かったから今日もそのままだと思ったんだよ」
隣を歩く恋人は、厚手の冬用ローブを羽織って冷たい空気の中で平然としている。もしかして寒さに強かったりすんのかな、水と氷使いだし。
「あー、手ぇ冷たい。ほら、氷みてえ」
「手を突っ込むな、冷たい、やめろ、おい」
「良いだろー」
隙を見てローブの中の腕に手を巻き付ける。あったかい。俺より細いのに、なんでこんなぽかぼかしてんのお前。あ、服装の違いか。
「やめろと言っているだろうが。なんだ、それとも濡れ鼠にされたいのか」
「待って、流石に風邪引くわ」
暖をとっていた相手が杖を構えるのを見て、慌てて手を離す。この気温の中でびしょ濡れは勘弁だ。しかもこいつが出す水冷たいし。
「仕方がない、手を出せ」
「ん? はい」
教科書を抱えたまま手を差し出すと、目の前で小さく杖が振られた。
「おお?」
冷え切っていた両手がじんわりと温もりを帯びる。手だけ暖房に当たってるような感じだ。
「結界魔法の応用だ。しばらくは続くだろう」
「おー、あったけえ!」
(衣替え)
後日加筆します。衣替えが難しい天気が続きますね……。
10/22/2024, 11:47:26 AM