8月31日、午後5時
夏の匂いがまだ残る風
校庭の影が少し伸びて
君と並んで歩いた道
言えなかった言葉が胸を刺す
蝉の声が遠く消えてゆく
夕暮れの色に染まる頬
「また明日ね」と笑ったけれど
明日はもう来ないと知ってた
8月31日、午後5時
あの日の空は今も焼きついて
最後の夏を閉じ込めたまま
僕の心は動けないでいる
時間だけが背中を押して
ふたりの距離を遠ざけていく
名前を呼べば届きそうなのに
声は風にさらわれて消えた
8月31日、午後5時
君の笑顔がまだここに残って
涙に変わる前のきらめきが
真夏の記憶を抱きしめている
8/31/2025, 10:33:38 AM