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 スティック状のお菓子を友人から貰ったためもぐもぐと食べている。俺が進んで口にするタイプのお菓子ではなく、それが新鮮でなかなかうまい。サクサクした食感が小気味よく、手の進みが早かった。サクサク、サクサク。
「面白そうな物食べてるね」
「貰ったんだ、スティックパイみたいで中に薄くジャムが入ってる」
「いいなぁ…『1つだけ』ちょうだい?」
 本来なら君にもあげるのだが無心で食べていたため最後の1本だ。食べかけをあげるのも忍びないが
「それでも良ければ」

 思い付いて、まるでポッキーゲームのように端を咥えて君を待つ。はじめは意図が分からなかった君が遠慮がちに端から口をつけて…小動物の餌やりみたいだ。少しずつ近づく君の顔、目蓋は伏せられて、食べる振動も伝わってくる。パイ生地から漏れだしたベリーのジャムがグロスみたいだな、このまま待ったらどうなるかな。口を動かすのを忘れていると君がぱきりと折って残りのお菓子を奪ったんだ。
「ご馳走さま」
 唇に付いたジャムを舐めとり続いて舐めとられ「紅茶いれるね」とキッチンに消えていく。すっかり食べることを忘れた俺は小動物のイタズラに呆気にとられていたのだった。

4/3/2023, 10:17:17 PM