お金よりだいじなもの
俺は貧乏で、あいつは金持ち。
だから近づいた。金が欲しかったんだ。
しかしどうやら、あいつは俺のことが好きらしい。
ただ媚びていただけなのに。滑稽だ。
金しか取り柄のないやつなんて、どうせ俺みたいなのに利用されるのがオチだ。
金払いはいいし、付き合ってやることにした。
もっといいカモが見つかれば、その時に捨てればいい。
——そう思っていたのに。
なんでだ。
なんで、なんで、なんでだ。
俺はあいつが嫌いだ。
好きじゃない。全然好きじゃない。
むしろ嫌いなはずだ。
それなのに、どうして——
気づけば、あいつの笑顔をもっと見たいと思っている。
おかしい。
気持ち悪い。
こんな感情、知らない。認めたくない。
なのに、
俺の心臓がうるさいくらいに叫んでいる。
——お前が大切だ、と。
3/8/2026, 1:59:47 PM