ことり、

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新しい地図


冒険者は、新しい地図を手に入れた。
新しい、とは言っても、歴代の
冒険者たちの書き込みに溢れている。

綺麗な泉のある場所、要注意のダンジョン、
よく当たる占い師の店、情報の手に入る
居酒屋などなど。

見れば見るほどわくわくする地図。
その中で、ある村が目に入った。
冒険者の出身地だ。印があった。

その家紋は、冒険者の幼馴染の少女の家。

もしや、と思い、首から下げているメダルを当てる。少女が昔くれた、大切なメダル。

「いつまでも、待っています」と
文字が、浮かび上がった。

今は自分と同じくらいの歳になっているであろう少女の、ぼんやりとした顔が
脳裏をよぎる。

冒険者の最後の冒険、
故郷への旅が始まろうとしていた。

4/6/2025, 1:12:44 PM