「無垢」
さほど暑くもない晴れた日。ピクニックをしよう、と誘われてどこまでも広がっていそうな草原に来た。彼女は白いワンピースを靡かせて、少し茶色っぽい髪の毛を揺らして、
「おべんとー楽しみだなあ。」
なんてふわふわ笑っている。どうしようもなく心は浮き立ち、恋焦がれてしまう。この激しい鼓動とは裏腹に彼女は軽い足取りで草原を駆け抜けていく。
「ここ、座ろっか。」
大きな木の下にそのまま座ろうとするので慌てて持ってきた布を敷く。
「ありがと。ふふっ、2人でピクニックなんて幸せだなあ…」
「ああ、本当に…」
このまま2人だけの世界に閉じ込めてしまいたいくらい、なんて。きっと無垢で真っ白なあなたは、こんな思いに気づいていないんだろう。
5/31/2024, 3:42:04 PM