眠るのが嫌だった

Open App

 酒を飲んだ。
 今夜こそ、怪物になってやるぞと意気込んでいる。
 多少頑健な己の体は、一缶じゃあ少しも本性を表さない。

 二缶。
 三缶。

 中身を空にして、落ちてくる水滴でだるだるのパジャマが少しだけ濡れる。

 怪物が奥の方で頑張って猛っているのが分かるけれど、一週間働いた身体がもたない。
 怪物を――ワガママと、子供っぽさと、大きな声と、とてつもないパワーと、なんだかそんなものばっかりをかき集めた――眠気が強く押しつぶす。

 氷が溶ける音がする。

5/17/2024, 4:59:08 PM