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部屋の壁に背を預けて、ぼんやりと練炭を眺める。
「…意外と、練炭って臭わないんだね」
「びっくりだよね」
〇〇はしばらく練炭に手をかざして温めていたが、すっと立ち上がって窓を閉めた。
「△△、平気?」
「うん。〇〇は?」
「ばっちり」
「そっか」
二人でぎゅっと手を繋いで、目を閉じる。睡眠薬も呑んだから、このまま深い眠りに吸い込まれていくと思ったら、〇〇が口を開いた。
「…ねえ、もし、生まれ変わったら、どうしたい?」
「…愛されたい。愛されて、大切に、されたい。何かに感動して涙を流せるような、優しい人に、なりたい。…〇〇は?」
「私はねえ、…△△と、幸せになりたい。幸せになって、世界の最後の日も一緒にいつも通り過ごすの」
「…いつも通り?」
「うん。学校が終わったら一緒にショッピングして、アイス買って、プリクラ撮って」
「うん」
〇〇の声が震えてきた。
「コイバナ、して、しょうもなく下らない話でバカ笑いして」
「うん」
「それで最後の最後まで笑って幸せでいるの」
〇〇の瞳から涙が零れ落ちた。〇〇は一瞬口元を歪ませてから、手を更に強く握って言った。
「絶対、なろうね」
「うん」
△△も握り返した。
二人は今度こそ眠りに入っていった。

6/7/2023, 12:54:12 PM