生粋

Open App

【パージをめくる】


今もあるのかは分からないけど

子供の頃に

ゲームブックなる物を読み漁った時期がある

短い文章の最後に選択肢があり

この道を右に行くなら37ページの2へ

左へ行くなら102ページの1へ

みたいな感じで進んでいく


そんな本だから

普通と違い

うっかり閉じたり

ページを間違えると

もとの場所に戻るのは難しい

また

バッドエンドに辿り着く事も少なくない

何となく

バッドエンドになりそうな選択肢が予想出来る時もあるけど

そっちの方も読んでみたい


栞でセーブを多用するようになった


脇道をチェックしながら

ハッピーエンドへの道を突き進む

いつものように

選択肢のページに栞を挟み

脇道と思われる方を先に読む

やはりバッドエンドだ

そこの文章を読み終え

余韻に浸ったあと

余裕の表情で

セーブポイントに戻る

もうひとつの選択肢へ

バッドエンド


罠だ

さらに前の選択肢が分岐点だったのだ

もっと前かも知れない

どこで間違えたのか

途方に暮れる


きっと

そもそもの間違いは

栞に頼った慢心だ


純粋に楽しむ事を忘れた小賢しい悪知恵に

作者から届いたメッセージかも知れない


なんて考えた少年の日


今はゲームブックを読む事はなくなったけど

慎重に新しいページをめくる日々

9/3/2025, 1:16:22 AM