花とコトリ

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フィルター

フィルターという言葉。
最初に浮かぶのは写真アプリだろうか。
空の色を変えたり、肌をすべすべにしたりする、
あれ。

でも、わたし達のまわりには、
もっとたくさんのフィルターがある。

たとえば、誰かを見る目。
あの人はこういう人だと、
勝手にフィルターをかけてしまう。
ほんとうは、ちがうかもしれないのに。

時間も、フィルターみたいだ。
子どもの頃の、夏休みの一日。
あのときは、
永遠に続くように感じていたのに。

いま、思い返すと、あっという間。
あの時間が持っていた、
特別な空気だけが、
キラキラと輝いて見える。

嫌な出来事も、いつかフィルターにかかる。
そのときは、もう二度とこんな思いはしたくない、
と、深く深く苦しいのに。

時間が経つと、
その苦しささえも、
意味のあることだったように思えてくる。
痛みが和らいで、
必要な経験だったのだと、
無理やり納得しようとするのかもしれない。

わたし達は、たくさんのフィルターをかけて、
毎日を生きている。

それが悪いことだとは思わない。
フィルターがあるからこそ、
見えるものがあるから。

でも、たまには、
そのフィルターを外して、
ありのままの世界を見てみたい。

空が、ただの空として、
あるがままの色で見える瞬間を、
大切にしたい。

9/9/2025, 4:00:45 PM