ストック1

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地空族は、未来予知能力を持つ種族であり、また、発明家も多かった
彼らはある時、地上が眩いほどの光りに包まれ、人類が滅亡する未来を見た
他の生物は何事もなかったかのようにそこにあり、人間だけが忽然と姿を消す
地空族のリーダーは、我々人類が、神の怒りに触れ、神罰を与えられるのだと告げた
滅亡を回避するため、地空族は空を飛ぶ船の開発を急いで開始する
できる限りの人々を船に乗り込ませ、人類を存続させるために
作られた船は、未来への船と名付けられ、地空族は、人々の未来を守るため、世界に向けて自分たちの未来予知の内容を話した
だが、前回地空族の未来予知が発動したのは、実に500年前
伝承でのみ語られる能力に、他の人々は疑いの目を向けた
結局、誰も彼らの話は信じず、地空族は無力感の中、自分たちだけで未来への船に乗り込んだ
それから少し経ったある日、地上は予知通り、眩い光に包まれ……空にいた地空族を除く全人類が消失した
悲しみの表情で未来への船から降りる地空族たち
彼らは絶望しながらも、残された自分たちで、新たな歴史を作っていこうと決意するのだった


とある場所にて、未来への船に乗らなかった人類たちは、気がつくとそこにいた
自分たちのいた場所よりも、かなり高度に発展した文明
信じられないほど高い建物が並び、空中には、人が乗っているらしきいくつもの塊が行き交う
元いた場所で3000万人ほどいた人類は、地空族を除いたその全員が、場所は違えど同じような光景に驚いていた
そんな中、住人であろう人々が、各地に分かれた合計3000万人に、それぞれの場所で以下のように告げた
あなた達は遠い未来へ来たのだ
あなた達の時代で言う地空族が数万年かけて築き上げた文明が、今目にしている光景だ、と
どうやら地空族は未来予知によって、過去からたくさんの人々が現れるこの事態を知ったらしい
混乱する人々だったが、地空族の丁寧な説明で落ち着きを取り戻していった
なぜこんな事が起きたのか
それは、かつて地空族が予想したような神罰などではなく、宇宙で星の位置が特定の並びになったことによって起きた大災害の一種だという
また、この大災害は、地上にいてなおかつ特定の生物(地空族はDNAがどうだとか言っていた)にしか降りかからないそうだ
未来への船に乗った地空族ではなく、乗らなかった他の人類が、大災害に巻き込まれ、未来への旅をすることとなったというわけだ
事態がまだ飲み込めていないが、地空族はそんな過去の人類たちを温かく迎えた
過去の人類たちはそれだけで少し安心感を覚える
これから、未来へ送られた過去の人類の、新たな生活が始まるのだ

5/11/2025, 11:11:17 AM