三日月

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寒さが身に染みて

 亮太は今日がクリスマスイブだけど仕事している。

 自分の店を構えるケーキ屋だから、今日休みが無いのは当然の事だけど、何だか寒さが身に染みていた。

 窓の外は普段とは違い道を歩いているのはカップルが多く見受けられ、イチャつくカップルや手繋ぎカップルばかり目に付く。

 羨ましいと言えばそうなんだけど、でも、だからといって亮太は先月三十路になったばかりの独身男……出会いが無いのだから、結婚なんてものはもう諦めていた。

――カランカラン

「いらっしゃいませ」

 笑顔で対応するものの、結婚を諦めているはずなの亮太がどこはかとなく寒さが身に染みるのは、やはり羨ましい証拠ともいえる。

――カランカラン

「いらっしゃいませ」
「小さいホールケーキが欲しいんですけど」
「すいません売り切れてしまいました。Mサイズかショートケーキはどうてましょうか」
「うーん、お勧めはどれですか?」
「お勧めの商品はイチゴいっぱいのショートケーキになります」
「ならそのショートケーキ2個ください。 閉店迄の間にまた伺うのでそれ迄取り置きお願いします」
「はい、取り置きですね、わかりました」

 カップルばかりのお客の中、一人で来た女性客はそう言ってお店を後にしたのだけど、亮太は何処か見覚えがあるように感じた。

 お店が閉店間際になる頃、昼間に一人で来店された女性客が商品を受け取りに漸く来たと思ったら、亮太は突然その女性から紙袋を渡されることに。

「えっと……」
「あれ、亮太忘れちゃっまたの?  私明日香よ」
「明日香……も、もしかして中学の時引越した明日香か?」
「うん」
 そう言ってニッコリ微笑んだ彼女は、ロングな髪を巻いていて、とても美しいな女性へと変貌を遂げていた。

 亮太と明日香は中学時代は異性関係無く大の親友で、明日香はショートの髪で、活発で、顔を男っぽかったのだから、今の姿を見ても直ぐに明日香だと気づけ無かったが、二重のアーモンド型の目を見て明日香だと思い出したのである。

「今はこっちに住んでてね……だからまた宜しくね」
「あっ、うん……ところでこの紙袋って?」
「中学ん時に渡せなかったクリスマスプレゼントだよ、二人でプレゼント交換しようって言ってたでしょ」
「あっ、そういえば……」

 明日香はクリスマスの前に転校したので、プレゼン交換しないままだったのである。

「ごめん、明日香に渡せるプレゼント用意して無いから……イイよ別に……それより開けてみて」
「うん……」

 中には手作りだというキーチェーンが入っていて、手紙も添えられてた。

「よ、読んでみて」
「うん」

 手紙には中学の頃亮太を好きだったこと、それと、今彼女がいないなら立候補したいことがかかれている。

「えへへ……どうかな?」
「お願いします」
「えっ、本当にイイの?」
「イイにきまってるだろ」
「わぁーぃ、嬉しい、頼んでた取り置きのケーキ一緒に食べよう」
「そういえばケーキあったね、イイよ明日香に奢る! こっちの大きなのにしようよ」
「わぁ、嬉しい亮太からのクリスマスプレゼントだね」

 寒さが身に染みていた一日だったけど、亮太は一気に暖かくなったのを感じた。



















 



1/12/2023, 2:42:14 AM