──守らせてほしい。
「たすけて」
「突然訪ねてきたと思ったら、お前は」
「……うう」
灰色の髪の友人は、開けてくれたドアの先で酷く不機嫌そうな顔をした。
***
「私は言ったな? あいつを泣かせたら凍らせるから覚悟しておけと」
「泣かせてないからセーフ……」
「それに近いことはしたということか」
「いや、その」
「答えろ」
「……はい」
なんだろう、こいつの職業って尋問官だったかな。記憶が正しければ魔法省の法務局に就職したはずなんだけれど。なんなら入省式に一緒に出たような気もするんだけれど。
「記憶違いかな……?」
「何を独り言を言っている」
「すみません」
自分の言葉が婚約者を傷つけたことも、水色の瞳に氷のような温度を纏う友人が当の婚約者の親友であることも事実で。
「詳しく状況を話してもらおうか」
「はい」
冷たい言い方に聞こえて、友人が自分たちの関係を心配してくれていることも知っている。
「何があった」
さて、何から話せばいいだろうか。
(哀愁を誘う)
11/4/2024, 10:06:54 AM