強いものに従うのが賢い生き方だ。無理に反発したってどうせ意味なんかないんだから。
強い彼女はクラスの主。彼女よりは少し劣るくらいに、でも他の人よりは綺麗に映るよう容姿に気を使って、彼女の意見に耳を傾けて同調する。
そうやって大人しく従っていれば、従者だってそれなりに楽しく過ごせる。
そんな事も出来ずに反発しようとしたり我を貫いたりすると排除されちゃうの。ほんと馬鹿みたい。
「さっきのマジで有り得なくない!?」
「そうだよね」
「もうさ、あいつのこと無視しようよ」
「うん」
『どうしてそんな事するの?』
ああ、声が聞こえる。
「泣いてんのまじウケるw」
「そうだね」
「動画撮ろーよ」
「分かった」
『ごめんなさい。ごめんなさい』
あ、声がどんどん小さくなってる。
「ほら、盗んで来なよw」
「行ってきなよ」
「早く行ってこいよ」
「そうだよ」
『やめて。もうやめて』
あ、そろそろ消えるかな。
「もう死ねば?w」
「それがいいよ」
「ほら、死んじゃいなよw」
『助けて…』
あ、もう消える。
もう声が消えるな。
私が無視した彼女の声が。
私が無視した私の声が。
もう、声が聞こえなくなるな。
いいのかな?
よくないよ。
『よくないよ』
ダメだよ
『ダメだよ』
もうやめよう
『もうやめよう』
「もうやめよう!」
【解説】
「」 →私が口に出した声
『』→私が閉じ込めた本音の声&彼女(被害者)が思っている
だろうと私が思っている言葉。
かっこなし→私の心の声
我が身可愛さの残酷さと罪悪感、そして少しの正義感という
相対する3つの感情をかっこの使い分けで表してみました。
この物語のように顕著でなくとも、多くの人が日々直面して
いる悩みでは無いかと思います。
ぜひ日常に置き換えながら読んでみて下さい!
9/22/2023, 10:41:43 AM