みんなと同じじゃないと烈火のごとく怒って排斥するくせに、みんなが特別扱いをされることを願っている。
平均的で、一般的で、フラットな世界の中で、自分だけが選ばれるのを心の中で望んでいる。
みんなが不平不満や日々の愚痴をこぼす中、いつか誰かが自分を見つけて、「あなたは特別だ」「あなたはすごい」と賞賛してくれるのを待っている。
SNSやネットのツールがこれだけ流行っているのもきっとこれが理由だろう。「私だけに向けられる」賞賛が目に見える形で表れる。承認欲求を満たすのに、こんなに便利なツールは無い。
かくいう私も。
毎日同じような業務の繰り返し、ストレスだらけの人間関係。それらから逃げるようにネットの世界に飛び込んで、自分の好きな世界を、好きなものを表現する。そこで貰う「いいね」は私だけのものだ。
顔も見えない世界で送られる小さなハートのマーク。
顔も知らない誰かがくれた、小さな、けれど尊い気持ち。この通知が来るだけで、私は多分明日も生きていけるのだろう。
END
「私だけ」
7/18/2024, 2:48:50 PM