『枠登り九十年』
知らぬ誰かの恋物語。
幼き日の誰かと誰か。
水色のジャングルジムに彼女の髪は見え隠れする。
彼の赤らめた頬は水色によく映える。
花吹雪に彼女は笑い。
そんな彼女に彼は微笑み。
青き日の誰かと誰か。
太陽光に当たりじんじんする真夏のジャングルジム。
彼女がコンビニで買ったアイスバーは下にいる彼の額にポトッと落ちて、たらりと流れる
彼は少し頬を膨らまし、飲みきったラムネの中をカランと鳴らす。
海の青さに彼女は感激し。
そんな彼女に彼は失笑。
成る日の誰かと誰か。
成人式が終わり、慣れ親しんだジャングルジムの下。
少し早い時期に成人になる彼女の髪は紅葉に美しく彩られ、
彼女はイチョウ並木の木漏れ日に惚れる。
彼はジャングルジムの隙間から、晴れ着姿の彼女を見てはまた頬を染め。
プレゼントのかんざしに彼女は嬉し泣き。
そんな彼女に、彼は顔から湯気を出すほどに胸が高鳴り。
終わり近い日の誰かと誰か。
少し多い雪もましになり、粉雪だけが舞った日のジャングルジム。
肌の白さが雪と同等になるほどになった彼女はベンチに座り、あの日のかんざしに触れる。
何かを思い出すように彼は遠くを見て、彼女の美しさに何度めましての挨拶をする。
二人一緒に懐かしのジャングルジムに触れ、二人だけの物語を紡ぐ。
何度も何度も恋を繰り返した彼らの物語は、まだ色の残るジャングルジムに残っている。
どれだけ時間がたとうとも、ジャングルジムが色褪せようとも、
彼らの恋は色褪せない。
お題『ジャングルジム』
※枠登り(わくのぼり)=ジャングルジムの日本語訳。しかし、あまり使われる場面はない。
織川より。
テスト期間に入ったので少々投稿が不定期気味になるかと思われますが、ご了承下さいませ。にしてもお題のジャングルジム、幼年期を思い出します。よく滑って転げ落ちたものです。遊具との思い出は誰の中でも色褪せないものですね。
+α最近の織川の悩み※お題とはガチ関係ないです
お気に入り登録した方々が全員投稿しなくなってく…もはや呪いか?呪いなのか?何十人中二人しか今投稿してくださっているお方がおらぬ……仕方ないことだとは分かっていても、少しばかり悲しい近頃です。
9/23/2023, 1:22:35 PM