今を生きる
中学のときの学年だよりのタイトルだ。
英語の先生が考えて、筆で手書きで書いたものをタイトルにしていた。
その先生は私の中1のときの英語の先生で、
私は最初の英語のテストで34点を取った。
今まで見たことのない点数でショックを通り越して、笑いが出た。
いわゆる中1ショックというものだった。
penをpennと書いていた。
friendをfurenndoと書いていた。
ローマ字が英語でなく、日本語であるということを理解していなかった。
だって、小学校の先生はローマ字が出来れば、中学校での英語は大丈夫だと言っていた。
車の中で泣いたのを覚えている。
目の前を通過する[EPSON]の看板を見て、なんでEPUSONNではないのか?と母に問い詰めて、母に英語は覚えるものよ、と諭された。
ショックを受けたし、そんなの無理だと思った。
一体いくつの英単語を覚えなければいけないのかと絶句した。
漢字だって覚えられたんだから大丈夫。と言われても納得できなかった。
学校の階段で英語の先生とすれ違ったとき、先生は私の名前を呼んだ。
三十数名いる教室で週に数回しか会わない先生だ。
私の名前を覚えていたことに驚いた。
今となっては何を言われたかはっきりとは覚えていないが、おおむねこのようなことを話されたと記憶している。
「テストの点数が低くて、びっくりしたよな。けど、大丈夫。あなたはちゃんとやっている。次は大丈夫だよ。」
私は小さく返事をすることしかできなかった。
けど、顔が赤くなっていたと思う。
中1ショックに沈んでいた私を見つけてくれた。
それだけで非常に嬉しかったし、感激した。
それ以降、直接声をかけられたこともないし、私から声をかけることもなかった。
だけども、私はちゃんと壁を乗り越えることができた。
7/21/2025, 1:20:17 AM