夜な夜な、仕事終わりにコンビニに寄る
人の少ない店内で、一人用のショートケーキを購入する
雪が降る中、イルミネーションの前でいちゃつくカップルを横目に、家路を辿る
悴んだ手でドアノブを捻り、誰もいない室内に
「ただいま」
と呟く
荷物は放って、無造作にスーツを脱ぐ
先ほど購入したショートケーキと、一緒に買ってきたコンビニ弁当を広げ、テレビをつける
クリスマスの特集だ
クリスマスの思い出
街ゆく人は必ず相手がいる
弁当を貪り食っていると一人の男性が目についた
何でも独身で、今から帰宅するそうだ
自分と同じ境遇の男に自然と親近感が湧く
『じゃあクリスマスは誰かと一緒に過ごす予定はないんですね』
とある芸能人の質問に、鼻を赤くした男が答える
早く帰りたいだろうに
『そうですね、今年も相手はいないので一人です。クリぼっちです笑』
『今街ゆく人にクリスマスの思い出を聞いているんですけど、何かありますか?』
『思い出かぁ、、そう言われると、思い浮かばないけど、、あ!でもね、毎年両親に感謝の電話をかけてます』
『ご両親に?そりゃまた何で?』
『だって、クリスマスってキリストの誕生日を祝うじゃないですか。でも日本はキリストと深い関わりがあるわけでもないし、ましては教会に出向くなんてこともない。それに仕事とか学校も祝日にならないし笑。ヨーロッパではキリストが何よりも大切な存在なんですよ。生き方を教えてくれて、人生の苦悩から救ってくれる存在だから。じゃあ、僕にとって生き方を教えてくれて、辛い時はそばにいてくれたのって誰だろうって考えた時、不思議と両親の顔が浮かぶんです。だから僕は毎年、両親に感謝の電話をするんだと思います。』
スタジオで「偉い!」という言葉が飛び交った
『じゃあ今日も帰ったら電話するんですか?』
「そうですね、もう寝てるかもしれないけど、ダメ元で電話してみます笑』
何よりも大切な存在か
そう考えた時、自分も両親の顔が浮かんだ
電話、してみようかな
先ほど放り投げた鞄を引き寄せ、中から携帯を取り出す
母の電話番号を押し、携帯を耳に当てる
何故か緊張している
『はい、もしもし』
母の声だ
すぐに出たな笑
『あ、母さん?俺だけど…
12/25/2024, 11:42:59 PM