紅月 琥珀

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 ずっと続くと思ってた。
 煌めく夜空の帳に、ゆらゆらと揺れる月の揺り籠。
 抱かれて眠りに就くような心地良さに甘んじた。

 ずっと続くと思ってた。
 何処までも広がる青を見上げて、描いた太陽の夢。
 君と一緒ならきっと掴めると信じられた。

 ずっと続くと思ってた。
 少しの違和感を口にした私に、困った様に笑う君。
 君の言葉を信じた私を、くつくつ嘲笑う逢魔ヶ刻の影法師。

 ずっと続くと信じたかった。
 いつか君は居なくなると、初めから心の何処かで確信していたのに。
 それを信じたくなくて、真実に瞳を背ける。
 君のやさしい嘘を信じて瞳を背けた私は、最後の機会すら掴めずに。
 あの日描いた夢はいつの間にか砕けてた。
 それなのに君への憧憬は消えないまま、あの日の嘘の意味を探し続けた。

 答えを手にした時、ずっと思い描いていた答えと真逆で―――君の愛の深さを知った。

 最初から最後まで、私の為のやさしい嘘。
 君のために生きていた私と、私のために傷付いた君。
 あの日言えなかった言葉を、いつか君に伝えるために。
 迷いながら生きていくと決めたんだ。

 この手を放してしまった後悔と言い表せない程の感謝を。
 届く日が来る事を願いながら、今日も私は―――君のくれた嘘(せかい)の中で生きていく。

1/24/2025, 1:51:50 PM