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私達に残っている明日(テーマ 待ってて)


 待つ人は、待ち続けてはいけない。
 自分が「何時までも待てる」とは限らないから。

 待たせる人は、まるで我々が永遠に生きるかのように待たせてはいけない。

 我々も、待つ人も、限りある今日を生き、減っていく明日を待っているから。



 我々はほとんどの個体が100年も生きない。

 具体的には、2020年生まれの日本人の平均寿命は男性81.64歳、女性87.74歳。
 日に直すと、男性29,798.6日。女性32,025.1日。

 ( あくまで平均のため、あてにはならないが)産まれたばかりの男の赤ん坊は、29,797.6日の明日を持つ可能性がある。

 時は2065年。この子が成長して45歳になると、寿命まで36.64歳。
日に直すと13,373.6日。
 残された「明日」は13,372.6日。もう半分は過ぎている。

 一方で、この子の親は1990年生まれ、30歳年上の70歳だ。
 1990年の日本人の平均寿命は、男性75.92歳、女性81.90歳。
 残された「明日」は、父親なら334.8日、母親なら2,517.5日。

 父親には、もう1年もない。

 この子( と言ってももう45歳の立派なおじさんだ)が父親に「待っててね」と言っても、待てる期間はもう1年もないのだ。

 まさに「明日をも知れぬ命」というやつだ。

 『来年の誕生日にはあれをしてあげよう』と思うのは構わない。
 しかし、そこまで待てるとは限らない。

 だから、今日、今が大事なのだ。

 私達は、仕事や勉強ですぐ『計画』を立てる。
 それが悪いとは言わない。計画がないと物事が進まないことがたくさんあるし、大事なことだ。

 しかし、計画は主に集団のためにある。
 私達個人は、連続した今日を生きているから。



 現代は、待つことばかりだ。

 人を待ち、信号を待ち、踏切を待ち、電車を待ち、料理が来るのを待ち、席が空くのを待ち、商品が来るのを待ち、約束が果たされるのを待つ。

 そして、同時に人を待たせている。

 少しでも早く、「待たせてごめん」と言えるように、私達は歩いて、走って、動かなくては、伝えなくては。

 明日の月日は、多くない。

( 平均寿命は厚生労働省ウェブサイトより)

2/13/2024, 10:15:24 PM