時計の針が重なって
多分これは、卒業式のことだったと思う。私の卒業式か、先輩の卒業式かなんてことはよく覚えていない。とにかくどっちも長いこと座らされてしんどかったってことだけが確か。
しんどくてしんどくて、座ってるくらいなら卒業式中ずっとグラウンド走り続けるので許してくれとすら思っていた。
だからたぶん、気を紛らわせるために時計をみていたんだと思う。
秒針が分針の上を通る、時針の上を通る。また、分針の上を、また、時針の上を。出会っては別れて、出会っては別れて。いつの間にか長い針が太い針を通り越していたりする。
延々と時間が流れているようで、今日この日の別れも大したことがない気がしてしまう。
それでもなんやかんや楽しい毎日で、時計の針が重なった、そんな一瞬みたいな幸せに。
ありがとうと言おう。さようならを言う時間はないけど、僕たちはまた出会うから。
時計の針が重なって。
時計の針が重なって
9/24/2025, 12:32:15 PM