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「卒業おめでとうございます」
「ありがとう」
部活の先輩に花束を手渡す。程よく骨張った指先が触れるのを何てことないように流して、私は微笑んだ。
「やー、でも寂しいです。これから先輩がいないでうちらの部活大丈夫なんですかね」
「大丈夫だよ、みんなほんとしっかりしてるから、ちゃんとまとまるよ。あ、来年度の文化祭で顔見せるから、頑張ってね」
「えーずっと先じゃないですか!」とふざけるついでに、そっと先輩の手の中の花束を盗み見た。
花束の中に、勿忘草を分からない程度に入れてもらった。花言葉は、『私を忘れないで』
"後輩"としてでもいい。それでもいいから、私を忘れないでいて。ずっとずっと、憶えていて。
私も、あなたを"素敵な先輩"として憶えているから。

2/3/2024, 12:57:00 AM