『一つだけ』
「一つだけよ」
例えば買ってこれたおやつが少なかった時、母は決まってそう言う。
うちは5人兄弟で、私は1番上の長女だ。お姉ちゃんだからと長年我慢を強いられ、ひょうひょうと我慢をしないで生きてきた気まぐれなお姉ちゃんである。とはいえ、もういい歳した大人なのでそろそろ我慢というものは必要だ。なので、私はそういう時言いつけ通りちゃんと一つで我慢する。だって長女だもの。長女だから我慢できた。長女じゃなかったら、尚更我慢しなかった。
しかし、我が兄弟たちは下の子になるにつれ我慢というものが出来なくなっていく。何せ、長女じゃないから我慢できないのだろう。長男に至っては、長男なのに我慢できていない。なんなら、一番このうちでわがまままであるのだから。
というわけで、ちゃんと家で「一つだけ」を守るのは私と次女と3女。守れないのが長男と末っ子なのである。
4/3/2023, 10:14:01 AM