たそがれ
薄い皮一枚へだてた向こう側の薄明界は、たそがれのときにもっともこの世界と近くなるのだと先生は言った。まるで薄明界に去っていったかのごとく先生は行方不明になってしまったのだけど。
たそがれどきがくるたびに僕は街を歩き、幻の瓦斯灯を探す。そこが入口かもしれないと先生が言ったからだ。…見慣れた路地に見慣れぬ袋小路があったらそこ…と先生は言ったっけ、思い出せないがこれは案件だ。
この街生まれで知らぬ路地などないはずの僕の前に現れた知らぬ袋小路の奥に小さな石造りの階段がある。この先に、先生はいるのだろうか。
「夜明け前」の続編です。
「夜明け前」
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10/1/2024, 10:29:51 AM