灰田

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どうしてこんなに、仲が悪いのかな。
いつも、いつも、ケンカしてる…
おばあちゃんの子どもたちは、みんなで嬉々として
ケンカしてる。
でも、みんな、本当に怒ってるんだ。
自分がいちばんに愛されたかったのに…って。

その人に愛を求めても無駄なのに。
おばあちゃんもお母さんたちと同じ立場だったんだから…
おばあちゃんだって、ひとりぼっちだった。
子どもたちを振り返る余裕なんてないくらい、真っ暗に、ひとりぼっちだった。

みんなそんなこと、わかっていたくせに。




………違う。
みんな、本当にわかっていなかったんだ。

だってそんなような孤独は、自分ひとりを屹立させてしまう。
誰も見えなくさせてしまう。
私も、見えなかったじゃない…
私もどれだけ、お母さんとケンカしたか。

そして、おばあちゃんの子どもたちは、自分の子どもたちを曲がりくねった形で愛した。
どんなことになるかを、少しも考えないで。




でも、それでもいい。

続いて来た、「悪い孤独」は、ここで断ち切られて終わるから。
有無を言わさずスッパリと、私の分だけは私が終わらせるから。

私もまた、人の愛し方がわからない。
けれど、それでいい。

わからなくても、終わらせることができるから。
一瞬一瞬を、自分の苦痛ではなく、
流れてゆく時間だけに同調させて、
今だけを生きる。

そうすれば、この世の理由(わけ)のわからないものは終わらせることができる。

愛に似て愛じゃない理由(わけ)のわからないものはすべて、終わる。

そうしたら、まだ誰も知らないところへ行けると思う。
誰も知らないからまだ何もない、空っぽの希望の場所ヘ。

だからそれでもいい。

…それは、振り切るためにあったことだ。
私が生きるためあったことだと、私が意味を与えたのだから。




4/4/2024, 12:58:46 PM