紅林眞叶

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生きる意味


どうしてか、この手が、いつもよりも大きく感じた。

この晴れない気持ちの正体が、一体なんなのか、まるで分からない。

だって、小さな頃から、よくこうして手を繋いで歩いていた。

楓ちゃんは駆け出し、ぐいと私の手を引いた。

その手が少し力強く感じたことも、楓ちゃんの瞳が時折切なく揺れていることも、すべて気のせいにして。

幼馴染に甘えるように、温かな拳を握りしめた。

もう、二度と離れないように。

4/27/2023, 10:22:13 AM