Kira

Open App

君と居るだけでなんでこんなに笑えるんだろう。
君といるだけで時間があっという間に過ぎていくんだろう。

「彩芽?何考えてんの?」
「えっ!?別になんにも考えてないけど?」
彼がビールの缶を持つと彼女の前にあるカップに注ぐ。
「彩芽あんまりお酒飲まないんだっけ?」
「そんなことは無いよ?ただ時間があっという間だなって思ってさ」


彼が時計を見るともうここの家に来てから2時間は経っていた。
「ほんとだ、早いね」

「…ね、さっき言ってた話って本当?」
「ん?」
「私この家に…っていう話だよ」

彼がクスッと笑う。
「俺と一緒に寝たいんじゃねぇのかよ?」
「ま、まぁそれは……それは否定…しないけど」
「否定しないんだ」と彼が笑い始める。

「な、なによ!」と言いながら彼女が慌てたように下を向き恥ずかしそうにしていると彼がテーブルに肘を当て右手で顔を半分隠しながら彼女を見た。

「嫌になったら自分の家に帰ればいいんだよ。でも俺の事好きならずっと一緒にいて欲しい。俺だって離れたくないし、仕事終わったあと彩芽がいるこの家に帰ってこれるならいくらでも頑張るさ」


「朔……」
「君とずっと一緒にいたいから」


彼女が何も言わず下を向く。


「そろそろ寝ないとな、もう12時だ」
彼が立ち上がると彼女の手を掴みそのまま立ち上がらせる。

「寝よう、な?」
「うん」

彼女を抱きしめると彼は満面の笑顔で彼女の口に重ねる。
そのまま導かれるように2人は暗闇の部屋へと進んで行った。


episode『君と』

4/3/2025, 10:44:04 AM