「夜の華」
大丈夫だよ。死ぬわけじゃあないさ。
ただ貴方に逢いたいと想うと声がピタリとでなくなる。それだけなんだぁ。
辛く幸せな夢をみた。
夜の空に浮かぶ華が私を見てと叫んでいる夢。
彼とみたどんな華よりも綺麗な花火。
今さらあの頃の夢を見せるのは私にとって酷な話だ。
生きて欲しい。私は確かにそう言った。
彼にただ生きていて欲しかったから。
私が命とは花火のように美しく散っていくものだと知ったのはきっと貴方のせい。
「死なないで欲しい。泣かないで欲しい。
生きていて欲しい。」
これは彼が私に言った言葉。
彼が私に残した最後の言葉。
私が愛した貴方の言葉。
私が愛した貴方のたった数秒でも、命よりも重たい
言葉。
おかしいでしょう。
私は守っているのに貴方は私の言葉を受け入れなかった。生きていて欲しかった。
愛してるよって照れ臭そうに言う貴方が大好きだったから。
好きだと想えたから。
でもね。私は今も生き続けているよ。
貴方がいないこの世界で生きていこうと必死に人生にしがみついている。
そして祈り続けるの。彼との約束を守れるように。
死にたいって思わないように。
まだ彼には会えないって逢いに逝っては行けないと
自分に言い聞かせるように。
大好きだぁ。堪らないほど愛しているの。
この気持ちだけは花火のようにすぐに消えていったりはしない。そう、願っているから。
9/4/2025, 2:54:23 PM