【 あなたとわたし 】
死を司るものとして、この世に生まれた者同士。
一人は天上の世界へ誘い、一人は責め苦の世界へ連れる。
互いを知ってはいるものの、会うのは稀だ。
顔を合わせたところで、仕事ぶりをちらりと見るだけ。
が、たまたま目が合った。
「意外と丁寧な仕事するんだね」
「少しでも楽にしてあげようと思って」
どちらの行き先なのかは決まっているが、
死者には分からない。
どちらであっても、案内人としては安堵を与えたいものだ。
お互い、示し合わせたわけではないが、似た思考なのだと初めて知った。
また会ってみたいな。
名前も知らない、他種族の相手。
それでもきっと、気が合うはずだ。
まるで、鏡合わせのような君だから。
11/8/2023, 3:53:54 AM