どこまでの続く青い空に、君の打ったボールは空に舞い上がりどこまでも伸びていく。
「………!!!いけー!!」
君の打ったボールは、グングンと伸びていき、ホームランとなった。
君の打ったボールが、チームを勝利に導いたのだ。
私の、好きな人のホームランが…。
「小春ー!!勝ったー!!」
私の家の玄関をいきなり開け、開口一番の言葉が、上の言葉。
田舎ならではの防犯力………。
「おめでとうっ!!凄かった!!ホームラン!!」
「おめでとうねー。大ちゃん」
「えへへ、ありがとう小春のお母さん!」
小春は、私。大ちゃんこと大輔は、私の幼馴染。
「はーあ、大輔、甲子園いくんだねー」
「ま、甲子園っていってもセンバツだけどねっ!」
「そんなの関係ないよっ!甲子園に行くってだけで、スゴいんだから!!」
大輔は小さい頃は小さくて、とても細い子供だった。けれど野球をするようになってから身長も伸びて、筋肉もついて、今では野球部の4番を任されるほどの男性になった。
そして高校ではよくモテるようにもなった。
「大輔が甲子園でたら、もっと人気になっちゃうね…」
「えっ!?何いってんだよ。そんなの高校球児っていうだけのことだろ?俺じゃないよ。」
「俺だよ。みんな、大輔のファンになる」
「だから、高校野球を通しての俺のファンになるだけで俺の全てを見てファンになるヒトはいないって、そんなのは、一過性…。」
「……そうかもだけど……」
「それに、」
「……うん?」
「俺は、一人の女の子に振り向いて貰えればそれで良いんです」
「……うん?何?」
「ううん。なんでもない」
大輔がなんと言ったのか私は聞き取ることが出来なかった。
けれど、両片想いのこの関係は、もしかしたらあと少しで、変わるかもしれない。
そんな予感がする……。
10/24/2023, 4:56:09 AM