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旅路の果てには、無数の風船が浮かんでいた。
下から上へ、不揃いな色が飛ばされては空に消えて見えなくなる。

手に届くヒモをつかめる限りつかむ。飛べるなんてことはなく、たくさんの風船を手に入れただけだった。

風船は足元の谷間から浮かんできている。

谷底には、地獄がある。

天国を求めて、死後の世界を旅してきた。
ふさわしいものは天国にたどり着ける。そうでないものは……。

そうか、と悟るしかない。
行き先は谷の下だ。そういう思し召しなのだ。

谷の底を見下ろしていると、上から呼ぶ声がした。
雲のそばで、誰かが手を振っている。
羽がはえ、布をまとい、頭には輪が浮いていた。

こちらまで降りてきて、手を握ってくれる。体が浮いた。

谷間から上がってくる風船が人へと姿を変える。
彼らは地獄で十分苦しんで、許されたらしい。

彼らと私は遥か空へと舞い上がった。

よかった。天国に行けるのだ。

1/31/2024, 10:41:27 AM