たくさんのものを一緒に見てきたんだ。
ほんとうにたくさん。
四季が巡るなかを一緒に出かけて、
山も、川も、海も、空も、
街並みも、食べ物も、
ほんとうにたくさん見てきたんだ。
同じものを一緒に見ていたけれど、
君にはどんな風に見えていたのだろうか。
君と行った場所の近くにいるからと立ち寄ってみたら、
あんなに色鮮やかだったはずのものが、
なんだかくすんで色がないように見えたんだ。
僕たちはもう同じものを一緒に見ることはできないけれど、
どうか君が見るものはこれからも色鮮やかであってほしい。
僕の身勝手さでこれからも君と見る資格を手放してしまったのに、
僕は今になって君が伝えてくれた景色や思い出がとても美しく楽しかったことを、
まざまざと思い出してしまうんだ。
君は僕と一緒ではないときに見たものも、
まるで僕も一緒にいたのかと思えるくらい鮮やかに情景が浮かぶように伝えてくれてたんだ。
僕と同じものを見ていてもきっと君の目に映るすべては、
僕では気付けないものがたくさんあるのだろう。
今になって思うんだ。
自分から手放してしまったのに、
これから君の目に映るすべてのものを何ひとつ知ることができないという現実に、
とても後悔しているんだ。
それでも君の目に映るすべてのものが、
これからも美しくあってほしいと、
願わずにはいられない。
8/14/2025, 8:24:29 PM