名無しLv.1

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「キャンドルってどうすればいいんだ……?」
もちろん火をつけるのは分かっている。火をつけた後が問題なのだ。
テーブルの上に鎮座しているのは誕生日プレゼントでもらったキャンドル。小さなコップのような透明なガラス容器に薄いピンク色のキャンドルが収まっている。先程匂いを嗅いでみたところ甘いような匂いがした。食べ物系ではないのは確かだが何の匂いか検討もつかない。火をつけたら匂いも強くなるのだろうか。
とにもかくにも火をつけないことにははじまらないので火をつける道具を探そうとしたが、そもそも我が家に置いてありそうなものが思い付かない。両親はともに非喫煙者でライターがあるとも思えない。ではマッチはどうかと考えてみるが仏壇のない我が家には置いてないだろう。コンビニで買ってこようかとも思ったが、一度しか使わないのにわざわざ買うのもなあと思いとどまる。残りの処分にも困りそうだし、下手したら両親に未成年喫煙を疑われかねない。これはガスコンロ直で火をつけるしかないか、と思ったあたりでチャッカマンの存在を思い出した。たしか台所に置いてあったはずだ。
無事キャンドルに火が灯された。小さな火がゆらゆらとガラス容器の中で揺れている。
このあとはどうすればよいのだろう。キャンドルが燃え尽きるまで眺めていればよいのだろうか。じっとキャンドルを見つめていると、窓から西日が入ってきた。キャンドルが入ったガラス容器に反射して強く光っている。せっかくつけた火が西日に負けている。
「これはタイミングを間違えたな」
息を吹き掛けて火を消した。ガラス容器が熱くなっていてびっくりした。火をつけているので当たり前である。十数分ほど火をつけていたがキャンドルはあまり減っていなかった。使いきれる未来が見えない。キャンドルは棚の上の住人になることが確定した。

11/20/2024, 10:10:09 AM